Home >伝統織物

カンボジアシルク

東南アジアではタイシルクが有名だが、カンボジアのシルクが世界最高水準の技術を誇るレベルにあることはあまり知られていません。
カンボジアシルクの歴史は、アンコール王朝頃ともそれ以前とも言われているが定かではありません。しかし、タイシルクよりもずっと以前からカンボジアシルクは世界中に輸出されていました。
カンボジアシルクはタイやラオスに向けて輸出されていた歴史すらあり、昔インドやタイで売られていた高級シルクは実はカンボジアで織られていた可能性が高いとも言われています。
織物の技術は代々母から子へ受け継がれて、その記憶の中で育まれてきましたが20年にも及ぶ長い内戦の結果その伝統は一時途絶えてしまいました。
しかし、高度な技術を持ったおばあちゃんたちによって、復興の兆しを見せ現在では多くの国産シルク製品が出回るようになり、今後のカンボジアの主要産業として期待できるものとなってきました。


ゴールデンシルク

カンボウジュ種と呼ばれるカンボジアのカイコは黄色い繭になり、そこからひかれる生糸も黄色。それはまるでゴールデンシルクと呼んでもおかしくないほどの輝きを放ちます。
「黄金の繭」「黄金の生糸」と呼ばれ、日本や中国の生糸に比べてシルク本来の美しさがあり、またカンボジアの糸で織られた布には独自の風合いがあり肌触りも世界最高水準の絹織物となる。


カンボジアシルクの種類

ピダン
クメール語で天蓋を意味するピダンは、仏教儀礼における天蓋布として用いたり、仏像の背後に吊るしたり、あるいは結婚式や葬式などの儀礼の際に装飾として用いられてきた。寺や生命樹を中心に周囲に天女や像、ナーガ(蛇)、寺院や帆船などを配した宗教的なモチーフが多い。古い物の中には、全く繰り返しの無い柄により構成された布もあり、カンボジアを代表する絣といえる。絵絣とも呼ばれる。

ホール
カンボジアの伝統的な織物を代表する、緯糸絣。その模様を作り出す糸括りの技術をジェンケトと呼び、その織り柄のモチーフは200以上あるといわれている。サンポット・ホール(サンポットはクメール語でスカート)と呼ばれる腰布用に織られるのが一般的で、古典的な草木染の色に基本を置く黄、赤、黒、緑、藍など5色のものが代表的。しかし、それらは織り手の記憶のなかにあり記録されていない。現在は戦乱のためにそれらの高度な技術を受け継ぐ織り手が激減し、残された人々も高齢化しているのが現状。


パムアン
経糸と緯糸に反対色または異なる配色の染め糸を使い、なおかつ綾織りで織ることによって玉虫色に輝く布。パムアンは柄がないが、玉虫色の光沢を生かすには、染め色の美しさと、織りの均一感が求められる。 赤の経糸と深い緑の緯糸による、クメール語でコーティア(アヒルの首の色)と呼ばれる配色が有名。布の袖口に紋織りが施されているものもある。


サロン
日常着の腰布。サロンの基本は縞柄で平織りで織られている。庶民の布とも呼べるもので、シルクだけではなく、木綿でも織られてきた。カンボジアの田舎では現在も日常で使用されている。普段使いの着物の帯などに用いても素晴らしい逸品


クロマー
汗を拭く、頭に被る、ものを包む、腰に巻く、赤ん坊をあやすなど。カンボジア人なら一人に一枚はもっている多目的タオル。青と白、赤と白の配色の小さなチェック柄が代表的。綿生地が一般だが、シルクのものはパーティなどでストールとして使われたり、カンボジアのお土産としても人気。